東証の根深い「投資家軽視」
泥沼「誤発注」裁判は新展開へ
2010年10月号
二〇〇五年に起きたジェイコム株誤発注事件をめぐる裁判が新たな展開を見せようとしている。四年間にわたる泥仕合の裁判合戦を繰り広げる東京証券取引所とみずほ証券。二月から東京高裁で準備書面のやり取りが続いている控訴審の公判が、早ければ十月中にも始まる公算が大きい。そのなかで、司法、証券、ITなど関係者の周辺で「年内か来年早々にもみずほ証券有利の判決が出る」との見方が強まっているのだ。
事件が起きたのは〇五年十二月。みずほ証券のディーラーが売値と株数を誤って発注、直後に再三取り消し注文を繰り返すも、東証の売買注文システムの不具合で取り消し処理が受け付けられず、約四百億円の巨額損失を出したのは周知のとおりである。一審判決は、注意義務違反だが、東証だけに重い過失は認められないとし、東証に百九億円の支払いを命じた。
この一審判決を覆す形での控訴審の行方に注目が集まる今、判決の行方それ自体にもまして関係者の口の端にのぼるのが、裁判の過程で次々と浮き彫りになる、「泥沼裁判劇の主人公」東証の実に身勝手な投資家軽視の根深い体質である。
事件をなんら教訓にしていない
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