永田町動かす「オフレコメモ」
日本独自の情報戦
2010年10月号
――オフ・ザ・レコード。
一般に「オフレコ」と呼ばれるが、本来の意味に忠実であれば、発言者の名前どころか、話した内容に至るまで報道することはできない。しかし日本のマスコミは、名前を伏せることで発言内容を報じている。全く報道できないものを「完オフ」として区別している。このオフレコが記者の間ばかりか、取材対象者の間をも飛び交うのが永田町だ。
議員や官僚の発言を、各社の記者はメモ化し、政治部内でデスクなどに上げる。その際には、それがオンかオフなのかが必ず明記される。たとえばメモの冒頭に、「岡田克也幹事長、十月一日十七時、党本部、各社、オフ」といった形で記入されるのだ。こうしたものを「オフメモ」と呼ぶ。これが記事になる際には名前が伏せられ「政府高官」「民主党幹部」の発言として伝えられるのだ。
首相官邸に流す「内調」
常識で考えればそこですべてが終わるが、この町ではそうはならない。全国紙政治部記者が語る。
「オフメモは本音が出ているため、政治家にとって喉から手が出るほ・・・