「あれほど格好のいいことを言っておきながら結局は総理に覚悟がなかった」
　沖縄県・尖閣諸島近海で発生した中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事故をめぐって、首相菅直人の“ブレ菅”を懸念する声が早い段階から外務省内でささやかれていた。
　日中関係筋が明かす。今回の事件の象徴となった中国大使丹羽宇一郎の呼び出し問題。そもそも呼び出した国務委員戴秉国は、当時まだ外相だった岡田克也との間で政治決着を狙っていたが、岡田とうまく連絡がとれず丹羽を呼び出したという。その関係筋は戴秉国の真意をこう解説する。
「事件が長引けば長引くほど、そして双方が建て前を貫けば貫くほどチキンレースはエスカレートする。そうなれば経済も含めて中国に大きく依存する日本が降りざるを得なくなる」

菅─仙谷ラインに妙手はない

　まさしく那覇地検は九月二十四日午後、船長を処分保留のまま釈放した。検察の独自判断を装った政治決着そのものであった。地検側の発表に際しての「今後の日中関係を考慮」と・・・