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「南シナ海」でも海賊が跋扈

マラッカ海峡だけでなく

2010年10月号

 今年、日本の遥か南方の海域は、日本以上に「暑い夏」だった。東南アジアを航行する一般船舶を襲った「猛暑」は気温だけではなく、「海賊」だ。この地域といえば、数年前まで「海賊銀座」と呼ばれたマラッカ海峡が思い浮かぶが、最近はその活動海域をシフトしている。
 東南アジアでは九月十一日までに百十件の海賊事案(未遂を含む)が起きた。しかし、マラッカ海峡での発生は減少し、南シナ海では百六件(同)と昨年一年間の発生件数を既に上回る事件が起きている。
 事態の深刻化を受け、九月八日に、シンガポールに本部を置くアジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センターは、この海域を航行する全ての船舶に対し「警戒情報」を出している。
 アフリカ・ソマリア沖やアデン湾の海賊が国際社会の耳目を集めている間に、一時は鳴りをひそめた連中が動きを活発化しているのだ。そして、活動場所だけでなく、その手口も変化している。背景には周辺漁民の貧困だけでなく、新たな国際シンジケートの暗躍も見え隠れしている。
 さらに、中国による海洋権益拡大の動きも影を落としており、その解決は容易・・・