中東での「復権」目指すロシア
オバマ外交「後退」につけ込む
2010年10月号
プーチン首相とメドベージェフ大統領の「双頭体制」で勢力拡大を進めるロシアが、中東で「失地回復」を図っている。原子力発電所の建設やエネルギー貿易などの得意分野をテコに、当初は自国経済の立て直しにつなげる側面が強かったが、徐々に中東和平への積極姿勢を示すなど政治的な触手を拡大。オバマ米大統領への期待が尻すぼみの現状も手伝って、中東情勢の主要プレーヤーとして存在感を高めているのだ。特にイランやシリアと親密で、両国と敵対するイスラエルは「ロシア復権」に神経を尖らせている。
イラン南部ブシェールで建設中の同国初の原発に八月二十一日、核燃料が搬入された。独シーメンス社が七〇年代に着手した建設を、ロシアが九五年から引き継いだものだ。計画は大幅に遅れたが、二〇〇五年、ロシアが核燃料を提供する代わりに、使用済み核燃料を返還するとイランに確約させて、軌道に乗った。建設に反対だった米国はロシアのこうした「貢献」を受け、「(原発は)民生用で核拡散の危険はない」と態度を軟化させた。
原子力関係でロシアは、トルコやサウジアラビアとも協定を締結。二〇一九年までの原発稼働を目指すヨルダ・・・