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WORLD

「経済政府」樹立に向かうEU

ユーロ危機を奇貨として

2010年10月号

 今年に入ってから、欧州連合(EU)の「経済政府」実現をめぐる動きが活発化している。今年三月の欧州理事会(EU首脳会談)ではファンロンパイ大統領(常任議長)を座長とするタスクフォースが立ち上げられ、六月の欧州理事会ではドイツの主張を踏まえて二十七カ国体制の「経済政府」となることが決まった。九月十六日の欧州理事会では、各国の意見のもつれからタスクフォース報告書の採択は延期され、ファンロンパイ大統領の口頭報告に留められたが、十月の欧州理事会では最終報告書が採択される見込みだ。
 そもそも「経済政府」とは何か。実はこの核心的な問題に答えることはあまり簡単ではない。いずれにせよフランス発の概念(グヴェルヌマン・エコノミク)であることに疑いはなく、古くは一九九七年に当時のジョスパン首相が樹立を求めたとされるが、今回の動きに直接につながるのは金融危機勃発直後に行われたサルコジ大統領の欧州議会演説だ。リーマンショックから間もない二〇〇八年十月二十一日、サルコジ大統領は「今回のような甚大な危機の場合、財務大臣会合だけでは深刻な状況に対応できない」と述べ、ユーロ圏十六カ国の大統領や首相で・・・