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連載

日本の科学アラカルト 新連載

科学・技術を支える「数理工学」という基盤

2010年9月号

 日本における科学・技術といって、すぐに思い浮かぶのは、例えばiPS細胞であり、先頃地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」などであろう。韓国などの猛追を受けつつも健闘を続ける電機製品や、ノーベル賞受賞者が続いた化学分野での研究を挙げる人もいるかもしれない。しかし、そういったあらゆる科学分野や、それのみならず、環境や経済といった他分野領域への応用も積極的に行われている「数理工学」にスポットライトが当たることは少ない。
 一般的に数理工学とは、様々な対象物に対し、数学や物理の方程式を用い、その性質を解析する学問だ。ここでいう工学の対象物としては、自動車やロボットのみならず、化学では鉄鋼プラント、生命では脳構造の解明など多岐にわたる。「リーマン・ショック」を契機に批判にさらされたが、「金融工学」もこの範疇に入る。
 数理工学で、対象を方程式を用いて記述することを「モデリング」と呼ぶ。これにより対象物の本質を抽出し、解析、制御するためのアプローチができる。この方程式と、既存の物理法則や研究結果を適用し、コンピュータに組み込むことでシミュレーションが可能になるのだ。
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