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連載

皇室の風25

内舎人と天皇
岩井克己

2010年9月号

 天皇や皇太子のそばに常時控えて、侍従以上に身近で日常生活を支えるのが「内舎人」と呼ばれる人たちだ。
 もともと律令官制では中務省に属し天皇の身辺警護などにあたるため「禁中」に入ることを特に許される官職として、他の舎人系の官職より格上とされた。奈良時代、聖武天皇に仕えた大伴家持が有名だ。後に源氏、平氏などの武士が任命されることが多くなった。
 現在の宮内庁の役職としての内舎人は、侍従職の事務官の中でも天皇のプライベートゾーンに出入りできる内廷係職員に冠される資格だ。皇宮警察の護衛官でも、特に身辺近く警護にあたる側衛には内舎人の辞令が出る。昭和の晩年には天皇の内舎人は事務官五人、護衛官十八人。東宮内舎人は事務官十人、護衛官二十五人だった(昭和六十年)。東宮が多いのは一家五人だったためだ。現在は天皇の内舎人は事務官五人、護衛官三十人。東宮内舎人は事務官四人、護衛官十七人だ。
 事務の内舎人の仕事は天皇の身辺雑事万端である。時と場面に応じて服、靴、靴下、帽子、絹帽(シルクハット)、勲章等々を用意して着替えを手伝う。様々な物品を用意したり、お茶やジュースなどの飲み・・・