不備だらけの「検察審査会」制度
法治国家を歪める「感情司法」
2010年9月号
検察審査会に付与された強制起訴権限。起訴権は検察官が独占していた。その権限を委ねられた審査会は最近、相次いで検察の不起訴処分を覆して起訴相当を議決し、世論の喝采を浴びている。しかし、新制度導入一年余にして「魔女狩り」「私刑(リンチ)」「感情司法」といった声も出始めている。
さらに注目されるのが民主党・小沢一郎氏の去就と審査会判断だ。十月にも二度目の議決が下され、起訴相当となれば小沢氏は強制起訴される。しかし、憲法の規定で国務大臣は首相の同意がなければ訴追されない。小沢氏は首相になれば起訴を免れるのか。その規定も改正検察審査会法にはない。法の不備、制度の欠陥は明白だ。
アマチュアがプロの判断を覆す
審査会が俄然、注目されるようになったのは小沢氏関連の政治資金規正法違反事件だ。東京地検特捜部は二月四日、二〇〇四年、〇五年分の政治資金収支報告書の虚偽記載について小沢氏の元秘書らを起訴したが、小沢氏については不起訴処分とした。この処分に対し市民団体とやらが東京第五検察審査会に不服を申し立・・・