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社会・文化

北海道の「秋色四彩」

比類ない「大雪山」紅葉賛歌

2010年9月号

 北海道の中央高地・大雪山の秋色は華やかだ。カエデの仲間は赤や黄に染まるが、最も鮮やかな紅に変身するのは、ウラジロナナカマドとタカネナナカマド。夏には地味な灌木の姿であるのに、陽光が力を失い、空気が澄明さを増すとともに、葉緑素が抜け、息をのむ鮮紅色へと衣替えする。いっぽう、赤と黄の錦織りに超然として、通年変わらぬ姿で要所を締めるのがアカエゾマツやハイマツの濃い緑。そして、急斜面の所どころには、万年雪の白が残る。
 合わせて「北の四彩」。
 大雪山の秋色は、彼方から遠望してもそれと分かるダイナミックな配色が特徴でもある。比較的新しい火山帯ゆえに土壌は薄く、雨が山肌を削りこんだ小さな谷や起伏が、ちょっとした水分条件の差となって植生のモザイク模様を生み出す。
 山腹に幾筋も走る水無し谷に沿って、緑のハイマツ帯が流れ降るように延び、その谷側をナナカマド類の赤がくっきりと縁どる。ところどころに黄色い葉を茂らすのはダケカンバかカエデの仲間か。雄大な立体キャンバスに描かれた赤と緑は、自然界にこれほどの色彩コントラストがあるのかと見る者の心を奪い、やがて来る厳しい冬・・・