原発輸出でわが道をゆく東芝
韓国企業まで従えるしたたかさ
2010年9月号
国内初となる使用済み核燃料の中間貯蔵施設、リサイクル燃料備蓄センター(青森県むつ市)が八月末に着工したが、この工事受注をめぐる不可解な動きが業界の一部で憶測を呼んでいる。
同センターは東京電力から四千トン、日本原子力発電から一千トンの使用済み核燃料を受け入れる施設。当初は一棟(三千トン)を建設し、その後に二棟目(二千トン)が建設される。総工費は約一千億円に上り、そのうち八割程度が使用済み核燃料の貯蔵容器(キャスク)の製造費に割かれる。
むつ市の中間貯蔵施設で使われるのは全長約五・四メートル、外径約二・六メートルの輸送・貯蔵兼用キャスクで、ウラン重量は約十トン。一棟目には二百八十八基が置かれる計画で、単純計算すれば最終的には五百基程度が搬入されることになる。
業界の一部が眉をひそめているのが、この一基当たり一億円を超えるキャスクの受注先だ。使用済み核燃料を再処理するまでの五十年、時間を稼ぐことができる中間貯蔵施設は、核燃料サイクル政策上、重要な施設。国内初の施設ということもあり、本来なら三菱重工業、日立製作所、東芝という原発メーカー御三家が製造・・・