「公家集団」と化すKDDI
ベンチャー精神もどこへやら
2010年9月号
iPhoneの記録的な大ヒットで快進撃を続けるソフトバンクに、SIMロック解除という反撃を仕掛けるNTTドコモ。両社が熾烈なデッドヒートを繰り広げる携帯電話市場において、ひとり取り残された感が強いKDDI。そのKDDIが「動脈硬化症」に陥っている。
経営陣はリスクを負おうとせず、若手社員はやる気を失いつつある。NTT(旧電電公社)に反旗を翻した第二電電の設立から二十五年。小野寺正社長兼会長の十年にわたる長期政権が続く中、KDDIのかつてのベンチャースピリットはまさに風前の灯火だ。
「『公家』というのはわれわれKDDIのことを言っているのではないのか?」――。
今年七月、KDDI社内が騒然となった。十二日に放映されたテレビ東京系の「カンブリア宮殿」にソフトバンクの孫正義社長が登場し、ナビゲーター役の村上龍氏に「間違っても公家集団になってはいけない! 戦う軍団でなければいけない」と言い放ったからだという。
本当にKDDIのことをたとえて孫社長が言ったのか、放送をみるかぎり真意は定かでないが、たしかにいまのKDDIをして「公家集団」とは言・・・