《政界スキャン》
総理大臣の条件
2010年9月号
首相に対する幻滅感がこうも繰り返されると、議院内閣制の存続自体が危ぶまれてくる。国民は国会議員を選び、その議員が投票で首相を選出するいまの制度は果たして今後も有効なのか。
戦後、何度か議論をまき起こした首相公選制(国民の直接投票による選出)が改めて見直されておかしくない。それは当然、憲法改正につながっていく。首相の権威を回復するためには、国民あげての吟味に耐えるだけの、人格的にも能力的にも洗練された人物の登場がなんとしても望まれるからだ。
自民党政権末期の三首相、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎については、いまさら論じない。民主党政権に切り替わって約一年、初代の鳩山由紀夫は八カ月半で自滅した。二代目の菅直人はまだ三カ月たらずの助走段階だが、早くも、
「首相に不適格」
のラク印を押されかけている。九月十四日の民主党代表選は予断を許さない状況だ。小沢一郎前幹事長の擁立論が根強い理由の一つは、菅首相があまりにも精彩を欠き、民主党政権の持続が怪しくなってきたことによる。