「格差社会」中国に深刻な危機
お寒い「世界第二の経済大国」
2010年9月号
八月中旬に日本政府が発表した今年第2四半期の経済統計で、中国の国内総生産(GDP)が初めて日本を上回ったことが、世界中の関心を呼んだ。両国の成長率に大差があるため、通年で中国が日本を抜き世界第二位の経済大国になることが確実になったことによる。これは一九六八年に、日本が世界第二位の西ドイツ(当時)を抜いたときより、はるかに大きな歴史的出来事だった。
もっとも中国が日本を追い越す日がくることは、米国の経済学者は十年以上前から予測していた。そして今、中国が米国に追いつくのはいつかに関心が集まる。
経済史学者のアンガス・マディソンが、一九九〇年代末に予測した「二〇一五年」はいささか大胆すぎるが、ゴールドマン・サックスの主任研究員ジム・オニールの「二〇二七年」は十分可能とみられている。
欧米メディアは、中国経済の問題点を指摘しつつ、総じて中国の急成長を高く評価し歓迎しているかにみえる。かつての高度成長期の日本とは違い、中国の巨大市場は外資に開放され、中国経済の成長に寄与しているだけでなく、自国産業にも大いなる利益をもたらしていることが背景にある。この点・・・