ロシア蝕む「アフガン麻薬」
「コソボ・ルート」からの流入が増加
2010年9月号
米国は建国史上最長の戦争に直面している。二〇〇一年十月から開始されたアフガニスタン戦争は、ベトナム戦争の百三カ月を既に上回った。米軍の死者は着実に増加する一方である。一方、アフガン国内でやはり増大を続けているものがある。同国の「特産品」であるケシを原料とするヘロイン生産量だ。そして、このヘロインが旧ユーゴスラビアのコソボを経由して、ロシアへ流入。新たな米露間の課題にすらなっている。
年間三万人が死亡
国連薬物犯罪事務所(UNODC)が〇九年に公開したデータによると、タリバン政権時代には「反イスラム」とされ、ケシ栽培禁止が進み、二〇〇〇年から〇一年にかけ百八十五トンまで落ち込んだ。しかし、米軍の攻撃が始まって以降、〇七年には八千二百トンに達し、その後も増え続けている。
その結果、今やアフガンは世界のヘロインの九三%を独占的に産出し、同国には年間三十億ドル前後が入っている。「不朽の自由作戦」を展開する米軍と、国際治安支援部隊(ISAF)が必死の作戦を繰り返している最中である。
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