F・カストロ「復活」の狙いは何か
経済封鎖解除と「ノーベル平和賞」
2010年9月号
ラウール・カストロ国家評議会議長(七十九)が率いるキューバ政府は七月、二〇〇三年三月にキューバ版治安維持法である「国家独立・主権保護法」(通称・猿轡法)違反で逮捕し禁固刑に処していた政治囚七十五人のうちの未釈放者五十二人全員を四カ月以内に釈放することを決め、八月半ばまでに半数の二十六人を釈放した。さらに他の政治囚(約百人)全員を将来的に釈放する追加措置も決めた。
時期を同じくして、ラウールの兄フィデル・カストロ前議長(八十四)が、〇六年七月腸内出血で倒れて以来丸四年ぶりに公衆の面前に頻繁に姿を現し、政治的言動をし始めた。フィデルは、キューバ革命を成功させた〈生ける歴史上の人物〉で、〇八年二月、弟に政権を委譲した後も、キューバ憲法が謳う権力最高位の共産党第一書記に留まり隠然たる影響力を持つ。反体制派(キューバでは「反革命派」)を活気づかせずにはおかない政治囚全員釈放の決定とフィデルの〈再登場〉は何を意味するのか。
「米国と対話すべき時が来た」
今年二月下旬、刑務所内で抗議のため八十・・・