地方銀行大再編の気運高まる
生き残りを賭けた熾烈な食い合い
2010年8月号
東京・神田駅の近くにある全国地方銀行協会の老朽ビルの周辺に、毎月半ば、黒塗りの高級車がズラリと駐車する。全国に点在する地方銀行の頭取たちが一堂に会する会合が開催されるからだ。頭取例会と名づけられたこの会合が地銀業界の最高会議であることはいうまでもない。その会合の議長を務めるのが全国地方銀行協会会長の小川是・横浜銀行頭取である。地銀の雄と呼ばれる横浜銀行の頭取には歴代、財務省の事務次官経験者が就任。もちろん、小川氏も旧大蔵省時代に事務次官を務めた切れ者として知れ渡っている。
そんな小川氏が最近、周囲に「業界活動をしている場合ではない」と漏らしているという。
地銀協会長という立場は、単なる名誉職ではない。それなりに労力を割かれる役職であり、銀行経営に専念することは難しい。小川氏が漏らした言葉を言い換えると、「経営に専念しなければならない」という以外にない。地銀の雄、横浜銀行のトップがそう漏らすほどに、地銀は経営の舵取りが容易ならざる局面を迎えている。
「首都圏銀行構想」が再燃
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