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経済

トヨタと販売店の間に「きしみ」

迫る補助金終了の「Xデー」

2010年8月号

「忙しくて大変ですよ」。事務作業と並行して接客をこなす愛知県のあるトヨタ自動車の系列販売店の社員は、嬉しい悲鳴を上げる。
 エコカー減税や新車買い替え補助金を追い風に、新型ハイブリッドカー「プリウス」の納車は依然として二カ月超待ちだが、政府補助金の申請期限は九月末。車両保有登録日が「申請日」となる。補助金駆け込み需要をしっかりと先食いしたい同社では、全国約四千九百店の全販売店で全車種試乗キャンペーンを展開し、七月はまさに販売のピークを迎えた。
 しかし、この繁忙期が長くは続かないことを販売店は当然ながら理解している。九月末の補助金終了を販売店は「Xデー」と呼び、繁忙の裏で不安に苛まれている。政府の支援策で息を吹き返したトヨタも、十月以降の販売対策は全く見えてこない。
「着実に国内の市場はしぼむ」(販売店幹部)と落胆の声が目立つが、販売店各社を待つ本当の恐怖は「Xデー」の先にある。トヨタが着々と進めている販売店の大リストラである。

チャネル制度を立ち枯れさせる


「章男・・・