BP「破綻」に沸き立つ石油業界
優良資産が「大安売り」
2010年8月号
七月二十日、英系メジャー(国際石油資本)BPは同社が北米やエジプトに持つ石油・天然ガス施設など七十億ドル相当の資産を米中堅石油企業のアパッチに売却すると発表した。ルイジアナ州沖の深海部油田で起こした史上最悪の原油流出事故で天文学的な損害賠償を迫られているBPが、いよいよ補償原資を確保するため切り売りを始めた。だが、この程度の対応ではまさに焼け石に水。今、世界中の石油企業は同社の「破綻」を前提に、BPなきあとの世界戦略を描く段階に入っている。
事故当初、BPはメキシコ湾への原油流出量を一日五千バレルと公表していたが、米国地質調査所の調査では三万~六万バレルに達するとされ、延べ原油流出量は六百万バレルにも達する可能性が高まっている。自然環境を回復するには百年はかかるとの見方も出る中、BPの損害賠償額はメキシコ湾の原油除去費用、懲罰的損害賠償を含め六百億ドルを大きく超える可能性が高い。
Xデーに向けて動き出した
損害賠償額の膨張を嫌った株式市場はBP株の投げ売りを続けた。原油流出事故前・・・