欧州通貨危機は「底なし」
野球でいうならまだ「三回裏」
2010年8月号
「ユーロ危機がもう終わったなんてとんでもない。野球で言うとまだ三回の裏かな。今仕掛けをしないのは、米金融規制改革法が成立して、現実にどう運用するのか様子を見ているから。抜け穴が分かれば、また次のターゲットに向けて忙しくなる」。あるヘッジファンドの運用者はこう言って笑った。
ユーロの対ドルレートが、六月に一・二ドルを割り込んだ後に反発。スペイン、ポルトガル、アイルランド、ハンガリーと国債の格下げが相次いでも市場はほとんど反応を示さない。ユーロの暴落は、ひとまず沈静化したかのように見える。しかし、まだ投機筋はもっともっと下値を見ている。
東欧諸国に不良資産
ヘッジファンドの親玉ジョージ・ソロス氏が最近、ある会合で「ユーロ圏の債務危機への政策対応そのものが景気を押し下げる悪循環を招いており、来年のユーロ圏はマイナス成長。その後も数年間は経済停滞に苦しむ」と予言した。その理由としてソロス氏は、「ユーロには調整メカニズムが欠落しているし、離脱に関する取り決めもない」という持論のユーロ崩壊説を・・・