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政治

《罪深きはこの官僚》番匠幸一郎(陸上幕僚監部防衛部長)

永田町を遊弋する「制服を着た政治家」

2010年8月号

「制服を着た政治家」と防衛省内で呼ばれるのが、陸上幕僚監部防衛部長で陸将補の番匠幸一郎だ。
 七月十三日、菅内閣はスーダンへの選挙監視用陸上自衛隊ヘリコプター部隊の派遣見送りを決断した。事前調査団を現地に派遣し進めてきた、長年の準備を水泡に帰させたのは、番匠の思惑だった。
「時間が足りない。準備不足での派遣は危険過ぎる」
 番匠は、民主党政権が外務省主導でヘリ部隊派遣に積極的になる中、「制服組」を抑え、内局「背広組」を無視し、防衛大臣の北澤俊美に「派遣見送り」をインプットすることに成功したのだ。
 スーダンへのヘリ派遣は二年以上前から議論され、陸自は「ハードルは高いが、行けといわれれば行く」(折木良一陸幕長・当時)との立場だった。現在、部隊運用、国際貢献を主管する統幕のトップはその折木である。
 派遣機運が高まる中、折木は、現陸幕長火箱芳文に指示、具体的計画に着手しようとしていた。内局の「背広組」も運用企画局長德地秀士を中心に派遣で動いていた。
 しかしここで、番匠が反対論を展開。内局より先に「派遣費用百億円は高すぎる」「パイ・・・