《政界スキャン》
首相の「ひと言」の重み
2010年8月号
これほど首相のひと言が国政を揺るがしたケースもめずらしい。菅直人首相は参院選の直前に、なぜ、
「自民党の消費税一〇%を一つの参考にしたい」
などと軽率極まる発言をしたのだろうか。大敗がはっきりしたあと、菅は消費税に唐突に触れ、しかも事前の説明不足が敗因だった、と反省の弁を述べたが、なぜ不用意発言が飛び出したかは語られていない。首相としての菅の適性を判断するうえで、重要である。
菅のもっとも身近にいる伸子夫人は、
「財務相からすぐに首相になったんですよ。財政を何とかしなくちゃって思いを引きずっていましたから。財務相の気分で首相になっちゃったんですよ」(七月十五日付『毎日新聞』夕刊)
と語っている。財政再建への使命感が消費税発言に直結したと言いたいらしい。
また、鳩山由紀夫前首相は、
「菅首相は財務相当時から『消費税で自民党と一緒の主張をすれば争点から消えるから大丈夫だ』と主張していた」
と明かした。実際にその通りの主張をしたわけだが、消えるどころか、逆・・・