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トルコが「新オスマン」路線へ

貴重な「同盟国」を軽視した米欧

2010年8月号

 イスラム圏唯一の北大西洋条約機構(NATO)加盟国、トルコが、従来の親米欧路線から大きく軸足を動かしている。ガザ支援船団襲撃事件をめぐるイスラエルとの争いや、イラン核問題をめぐる米国との対立は、氷山の一角だ。欧州連合(EU)とオバマ政権は、半世紀も続いた貴重な同盟関係を失うかどうかの岐路に立っている。

親米はわずか一四%


 トルコのレジェップ・エルドアン首相は、怒りが収まらない。
 五月三十一日に起きた、イスラエル軍によるガザ支援船団襲撃事件(九人死亡)から一月半。七月中旬に、セルビアを訪問したエルドアン首相は、「イスラエルには三つの要求がある。(襲撃事件の)謝罪、犠牲者への補償、そしてガザ封鎖の停止だ」と、記者会見で語った。どれも、イスラエルができないことばかりだ。
 国内では、もっと遠慮がない。「イスラエル人は、十戒に『汝、殺すなかれ』とあるのを分からないのか? それなら、英語でもヘブライ語でも言ってやる。『汝、殺すなかれ』とね」。ガザでは事件後、新生児を「レジェップ」・・・