湾岸揺さぶるイラン「スパイ網」
統括するのは「革命防衛隊」
2010年8月号
イスラエルや米国によるイラン核施設への攻撃は、可能性だけは常に指摘されているものの、実行されていない。最近も、ワシントン在住のヨルダン人ジャーナリストが米政府筋の話として「この夏にも攻撃する」と語っている。
実際にこの攻撃が起きた場合、サウジアラビアはイスラエル機の自国領空通過を容認すると見られている。この背景には、これまでの親米反イラン政策という経緯に加え、サウジなど湾岸諸国がイランのスパイ網によって国内が攪乱されることを極度に恐れるようになっている現状がある。このスパイ網は湾岸諸国全体に広がり、情報収集のみならず、拠点建設や破壊工作を行い、いざというときには米国寄りの湾岸諸国の「内部分裂」をも画策している。
最大の標的はサウジ
五月上旬、クウェートでイランのスパイ組織が当局により摘発された。彼らは、クウェート軍と米軍の施設を監視し、情報収集をしていたという。
この摘発を受けて、クウェートの国会議員であるムハンマド・ハヤーフ氏は「イランによるスパイ網が湾岸諸国全体に・・・