三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

Book Reviewing Globe 連載314 

中国は究極の縁故社会

2010年7月号

 中国の党、政府、国営企業、国営メディアのトップ、その数およそ三百人の机の上には、電話番号が四桁の赤い電話が据えられている。中国の党高級幹部は、二つも三つものケータイ電話をいつも忙しげにこね回すのを甲斐性のように思っているふしがあるが、その彼らの最大の地位の象徴はこの赤電話なのである。これを与えられれば、晴れて党中枢の"赤電話クラブ”のメンバーとして迎えられたに等しい。
 ところで、赤電話はどういう時に使われるのか。
?赤電話クラブ”に属する一人は、次のように明かしている。
「そのほとんどが他の党高級幹部からの頼み事の電話だ。息子、娘、姪、甥、いとこ、友達、誰でもいい、要するに何かいい職がないか、一つ頼む、というお願い事だ」
?赤電話クラブ”は究極の縁故社会でもあるのだ。
 改革・開放政策が始まる一九七八年まで、中国共産党の半分は労働者と農民だった。過去三十年で、その両者の数はどんどん減っている。
 共産党がいま一番熱心に入党を勧誘しているのは、富豪企業家と有名大学の優等生である。・・・