立ち枯れ不可避の日本ABC協会
メディアも広告主も名物会長も見限った
2010年7月号
新聞や雑誌などの部数公査を担う日本ABC協会が崖っぷちに立たされている。公査への信頼低下に端を発し、広告主企業やメディアの間でABC協会を見限る動きが加速しているためだ。加えて、二〇〇三年から協会会長を務めてきた成田豊氏(電通最高顧問)が六月十六日の通常総会で突然、会長職から退くことを表明。今後は広告界のドンの威光にも頼ることができなくなり、協会の存続自体を危ぶむ声すら出始めている。
相次ぐ公査中止の要請
二〇〇〇年代半ば、ABC協会の活動が曲がり角を迎えていた時分の様子は小誌(〇四年八月号)でも取り上げたが、それから六年。凋落ぶりは目を覆うばかりだ。当時から新聞各社の押し紙行為による部数水増しを問題視する声は多く、当然、ABC協会の公査にも懐疑の目が向けられていた。だが、新聞社側に是正を迫ろうとする意識は希薄で、協会と新聞社とのもたれ合いは続いた。
ところが、ここ二~三年相次いだ週刊誌による新聞部数の水増し問題を取り上げた報道が、潮目を変えた。いわば業界の「常識」が一般にも広ま・・・