「野党本部」国有地占拠の異様
五五年体制の「遺物」
2010年7月号
「自民党本部のある土地は国有地であり、それを国民に返上することを提案いたします」
二〇〇九年一月二十九日の衆議院本会議、当時、野党民主党の幹事長であった鳩山由紀夫の代表質問での発言である。首相(当時)の麻生太郎はこう答えた。
「(本部の土地は)東京オリンピック関連の道路計画により、当時の自民党及び社会党の党本部が(中略)貸し付けを受けたものであります」
千代田区永田町一丁目に二つの政党の本部がある。正式名称は自由民主会館と社会文化会館。前者は自民党、後者は社民党の本部ビルだ。そして、どちらも国有地の上に建つ。
民主党の社民への「配慮」
話は四十年以上前、一九六四年の東京五輪にまで遡る。五輪開催に向けた再開発の過程で、都心部で大幅な道路拡張工事が行われた。皇居脇の三宅坂交差点を起点とする国道二四六号線の拡張に伴い、自民党と社会党の本部が立ち退きを余儀なくされたのが事の発端だ。六一年からの国会委員会審議を経て、六三年、随意契約を許す「予算決算及び会計令臨時特例(予・・・