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政治

菅政権を操る財務省の「深謀」

悲願の「消費増税」に突き進む

2010年7月号

 菅直人総理大臣が「消費税率一〇%」をぶち上げる過程を検証すると、財務省のしたたかさが浮き彫りになってくる。民主党政権の狂信的な「政治主導」でほとんどの省庁が萎縮してしまっているのに、恐れを知らぬ動きで財政規律回復への執念を見せた。
 財務省の非凡さを端的に示したのは、先の通常国会に野党・自民党が提出した「財政健全化責任法案」だ。議員立法は数あれども、財政健全化の工程表を書き込んだ法案は異例中の異例だ。生き物である経済をスナップショットでとらえ、それに基づいて将来の数字を固定する。法案の方向性は自民党議員が考えたが、具体的な条文に落とし込み、憲法との整合性をとっていく作業は衆参両院に置かれた法制局が担当する。これまで扱ったことのない類の法案作成作業に、衆院法制局の職員たちは戸惑った。野党側と官僚との接触を神経質に牽制する民主党政権のもとで、財務省に助けを求めるわけにもいかない。
 途方にくれていた時、頼みもしないのに「お手伝いを」と、財務省の複数の参事官クラスが手弁当で参上した。
「平成三三年度以降において各年度末の国と地方の長期債務残高の対GDP比・・・