インドネシアの危険な「脱華人」政策
資産流出の事態をも招く
2010年7月号
インドネシアのユドヨノ政権が、「聖域」に手を出し始めた。国の経済の八割を握るといわれる華人からの、主導権奪取を画策している。華人側は警戒を強めており、ともすれば中国からの投資ストップや、華人資産の流出という事態すら招きかねない「無謀な賭け」に踏み出そうとしている。
同国の経済は現在、堅調に推移している。金融危機後の二〇〇九年に経済成長率四・五%を達成、一〇年度の経済成長率もインドネシア銀行は五・六%と予測している。昨年スタートした二期目のユドヨノ政権は成長率六・五%を目標に掲げている。
こうした状況を背景に、ユドヨノ政権はこの国に築かれてきた経済の構造改革を目論んでいるという。「二%の人が経済の八〇%を動かす」とまで評されてきた、中国系インドネシア人(華人)による経済支配を、プリブミ(インドネシア語で原住民の意)の手に取り戻そうという悲願への挑戦だ。
広がる「反中感情」
六月十五日、ユドヨノ大統領は経済政策を効果的に行うための大統領直属機関として国家イノベーション委員・・・