アフリカで新「開発独裁」が台頭
経済成長の陰で進む「人権抑圧」
2010年7月号
日本メディアのアフリカ報道はサッカー・ワールドカップ一色だが、四年に一度の一大イベントとは別に、アフリカ発の気になるニュースがある。発信地は大陸中部の小国ルワンダと東部の地域大国エチオピア。目覚ましい経済成長の途上にある両国の政治動向は、かつてアジア諸国で見られた「開発独裁」のアフリカにおける萌芽を感じさせるのである。
五月二十八日、米国人弁護士のピーター・アーリンダー氏が訪問先のルワンダで同国の捜査当局に逮捕された。ルワンダでは一九九四年、当時のフツ人主導政権がルワンダ大虐殺を引き起こし、ツチ人住民を中心に推定百万人が殺害された。カガメ大統領率いる現政権は被害者側のツチ人主体であり、二〇〇八年に「反ジェノサイド(大虐殺)法」を制定し、虐殺の事実を否定すると見なした言論を取り締まっている。アーリンダー氏は同法違反で逮捕され、六月十七日に病気を理由に釈放された。
問題は、同氏が大虐殺の加害者を裁くルワンダ国際戦犯法廷(国連安保理決議に基づきタンザニアに設置)で、被告人らの主任弁護人だったこと。さらに、今年八月に予定されているルワンダ大統領選に立候補を予定し・・・