「土着化」するアルカーイダ
大規模テロの危険性 依然排除できず
2010年7月号
ひとりの米国人が単身、小火器と暗視ゴーグルを携えて観光ビザでパキスタンに入り、「ビンラディン狩り」を洒落こんだが、当局は武器不法所持で逮捕。こんなお笑いのようなニュースが伝わる一方で、アルカーイダ「生みの親」であるオサマ・ビンラディンの行方は杳として知れない。米国をはじめ北大西洋条約機構(NATO)諸国はタリバンがビンラディンを「客人」として匿っているとして軍事的な制圧を目指しているが、オバマ米大統領が撤退開始の指針としている来年七月までにタリバンを無力化できる可能性はゼロである。
ビンラディンの人気は絶大
NATO合同軍のアフガニスタンにおける現兵力は約十三万人であるが、マクリスタル司令官(当時)によれば、今夏これを十五万人にまで増強、攻勢をかけるという。しかし、欧州各国は経済危機の影響もあり既に撤退モードに入っている国もある。増員の大部分は米軍が賄わなければならない。
戦況が一進一退で、タリバンを決定的に掃討できないのは、地元住民が、腐敗したアフガニスタン政府より、タリバンの・・・