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連載

西風 349

関西空港問題に基地移転の嵐か
八木 亜夫

2010年6月号

 

 国土交通省の成長戦略会議がまとめた最終報告で、関西空港と大阪(伊丹)空港の経営統合の方向がようやく見えてきた。報告では、まず国営の大阪空港を民営化し、関西空港会社と統合する。これで一兆三千億円の負債に苦しむ関空を、年間黒字四十億円の伊丹が助けることができる。その際、事業仕分けでもヤリ玉に上がっているターミナルビルや駐車場も新会社に合体させる。当面は伊丹を関空の「補完的空港」とするが、将来は「廃港」とし、関空に一元化する。持ち株会社の設立は二年後とする。伊丹廃港には、現地で異論もあるが、来年三月に九州新幹線が全通すれば、これまでのようにはいかず、さらにはJR東海のリニア中央新幹線という強敵も待ち構えているから、ここまではなんとかわからぬでもない。だが、その先がむずかしい。
 持ち株会社は、両空港の運営権を最大八千億円で民間に売却し、関空の債務を一挙に解消する。これだけではとても足りないが、伊丹廃港の跡地を処分することも考える。そうすれば、成田・羽田と並ぶ国際拠点空港に再生できるという。といっても、空港運営権が思惑通り売れての話。関西・・・