犯罪の「温床」と化す電子メール
貧困層が次々と「起業」する
2010年6月号
我々のビジネスや普段の生活になくてはならないツールとなった電子メール。その一方で、新興国の貧困層を主な担い手として、国際的なメール犯罪が猛威を振るっている。たかが電子メールと軽くみてはいけない。世界のメール犯罪の被害総額は二〇〇九年の推計で十五兆~二十兆円にものぼるのだ。この二月には、偽メールを用いてハイチ地震への募金を呼びかける詐欺サイトが登場。欧州連合(EU)では現在、排出権取引システムを偽装したサイトが横行している。
アメリカのセキュリティ対策大手マカフィーによると、全世界で一日に発信される迷惑メールの総数は約一千七百五十億通。ネット上で流通するメールの実に九二%を占めている。なぜこれほど多くの迷惑メールが流れるのか、その理由は後述するとして、こうした現状と被害の広がりに日本人は極めて鈍感だ。日本語という言葉の壁が、迷惑メール被害の本格的な国内流入を防いでいるためだが、それだけに、外から見れば未開の市場が広がる「おいしいカモ」だと認識されていることに気付いていない。経済のグローバル化が進む中、巧みに日本語を操る海外の犯罪組織が暴れまわる日がすぐそこまで来ている・・・