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社会・文化

離島にも忍び寄る外資の手

水際でも進む「国土侵食」

2010年6月号

 旧い知人から一報が入った。
「中国資本が離島にアプローチしています。私は反対です……」
 葉桜に変わる頃だったが、取るものも取りあえず、JRを乗り継ぎ船で急行した。
 そこには波静かな入り江が広がっていた。海辺では黒鯛やメジナ(グレ)が釣れるという。何の変哲もない西日本のその島に、二〇〇九年以降、見慣れぬ外来者が既に数回訪れていた。通りを行き交う人も車もまばらで少ない。寂れたようなその島への接触が試みられていた。

島嶼部が狙われている


 経緯を詳しくたどってみよう。
 話がはじまったのは一年余り前だ。島の資源に中国資本が興味をもち、視察団が来島するようになった。〇九年の夏前と晩秋に中国側の視察があった。日本側は地元政治家が中国視察団を案内し、関係者を集めて交歓会を行った。役所の観光、産業、物流の各担当者がオールキャストで参加したその会では、「こんな交流をやっています」とさながらPR合戦が繰り広げられたという。
 今年・・・