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経済

マツダの「単独行」が注目されている

小規模メーカーゆえの強みを発揮

2010年6月号

 四月初め、日産|ルノー|ダイムラーの資本・業務提携が発表され、世界の自動車業界はフォルクスワーゲン(VW)|スズキ連合、トヨタ自動車、米ゼネラルモーターズ(GM)と合わせ、「七百万台クラブ」の四グループが中核となる構造が明らかになってきた。もちろんホンダ、現代自動車(韓国)、BMW(独)など独自路線で力を発揮するメーカーもあるが、研究開発やグローバル生産体制の構築などで規模を追求する流れはますます強まっている。
 そのなかで、興味深いポジションに立とうとする自動車メーカーがある。マツダである。マツダは国内で二十二万台(二〇〇九年度)を販売する六位(軽自動車含む)メーカーだが、世界市場を含めた生産・販売規模は百三十万台前後しかない。これまで数次にわたり経営危機に見舞われ、当時の住友銀行の全面支援を受けるなど曲折を経たのち、一九九〇年代半ばに米フォードの傘下に入り、フォードの中小型車部門といった位置づけになっていた。
 レシプロエンジンとは異なるロータリーエンジンを世界で初めて実用化し、今も販売する唯一のメーカーという技術面での個性は強いが、先進国に強豪メーカー・・・