独り勝ちヤマダ電機に「限界説」
中国進出も「不安」を隠せない
2010年6月号
ヤマダ電機の創業者である山田昇会長は五月の連休明け、高崎市の本社社長室でほくそ笑んでいたに違いない。何しろ同社は、同月六日公表した二〇一〇年三月期決算で、家電量販業界のライバルがどこも成しえなかった売上高二兆円突破という金字塔を打ち立てたからだ。
国内流通業全体でもセブン&アイ・ホールディングス、イオンに続く第三位の規模であり、薄型テレビや冷蔵庫などの拡販と徹底した経費の削減とで、経常利益も一千億円の大台に乗せた。家電業界二位のエディオンとは売上高でダブルスコア以上、経常利益は五倍もの差を付けた。
仕入れ価格はほとんど変わらないはずの家電類を同じく扱っていながら、この収益率の違い。国内ではもう誰も、独走を止めることはできないのだろうか。ヤマダは今、やっかみも含めて、徳なく武力と策略で天下をとった中国春秋時代の覇王に例えられている。
弾けた「家電量販バブル」
長年、郊外部での多店舗展開で業績を伸ばしてきたヤマダは二〇〇七年、その戦略に限界を感じたのか、ヨドバシカメラやビ・・・