《罪深きはこの官僚》谷口博昭(国土交通事務次官)
「道路行政」迷走の無責任男
2010年6月号
高速道路新料金をめぐる小沢一郎民主党幹事長と前原誠司国土交通相の対立は、政府の対応を二転三転させ、結局導入は先送りされ、政権運営の未熟さのみを国民に印象づけた。かつては「道路行政のドン」と呼ばれた谷口博昭国土交通事務次官はこのドタバタをどのような心境でみていたのだろうか。上り詰めた事務次官の座は、民主党政権下で全く発言力を奪われお飾りと成り果て、挙げ句にかつては自らが差配した道路行政の迷走を傍観することになるとはなんという皮肉か。自らの、このうえない無力を痛感していたに違いない。
谷口の評価は概ねこうだ。「部下に責任を負わせて首を切り、自分はどさくさにまぎれて次官になった男。霞が関には部下の失敗をかぶり、代わりに自分が辞める美風があった。役人の世界もすっかり荒廃したもんだ」と、ある有力官庁の元次官は、谷口の出世人生を嘆く。もっとも天下国家のために私心無く尽くす官僚も多いが、「魚は頭から腐る」もの。役所全体がダメ印を押されかねないと、心ある国交省若手も気をもむ。
谷口は一九七二年旧建設省に技官として入省。和歌山県出身ということもあって、同県選出で自民党の国交族の・・・
谷口の評価は概ねこうだ。「部下に責任を負わせて首を切り、自分はどさくさにまぎれて次官になった男。霞が関には部下の失敗をかぶり、代わりに自分が辞める美風があった。役人の世界もすっかり荒廃したもんだ」と、ある有力官庁の元次官は、谷口の出世人生を嘆く。もっとも天下国家のために私心無く尽くす官僚も多いが、「魚は頭から腐る」もの。役所全体がダメ印を押されかねないと、心ある国交省若手も気をもむ。
谷口は一九七二年旧建設省に技官として入省。和歌山県出身ということもあって、同県選出で自民党の国交族の・・・