石油メジャーが存亡の危機に
「メキシコ湾事故」で深海部油田開発は軒並み中止か
2010年6月号
この数年の資源価格の高騰で潤った総合商社の幹部の間で囁かれている危機がある。それは、「石油・天然ガス開発は今後数年、できないかもしれない」「あのBPが潰れる!?」という驚くべき内容だ。日本では生態系の破壊や観光への被害といった関心程度で、しかも国際面に小さく報じられているにすぎない米国ルイジアナ州におけるメキシコ湾深海部油田からの原油流出事故が、同国のみならず、世界のエネルギー事情を揺るがす重大な事態に発展する可能性が指摘されているのだ。
史上最悪の海洋汚染
四月二十日、BPがオペレーター(主操業者)となっているルイジアナ州の沖合八十キロにあるマコンド油井が爆発事故を起こした。十一名の犠牲者を出し、油田からの原油流出が事故発生から一カ月以上経過した今も止まっていない。水深一千五百メートルに位置する海底に達するパイプが破損したため、復旧作業が困難を極めているのだ。BPは、五月中旬にパイプに巨大な金属の構造物を設置し、原油流出部分にフタをしようとしたが失敗に終わった。
BPの発表では・・・