民主党「反小沢」勢力が内部分裂
「ポスト鳩山」への思惑から
2010年6月号
あれだけ騒がれた「五月政局説」は消えた。鳩山由紀夫総理大臣がどれだけ指導力不足を露呈しても、民主党で「鳩山おろし」が起きる気配はない。強制起訴の可能性が残る小沢一郎幹事長も意気軒高だ。これが、政権交代のもたらした効用なのだろうか。
少なくとも、この異常事態は参院選前に正常に戻らないし、参院選で民主党が四十五議席前後の結果で終わっても、鳩山も小沢も辞めないという読みさえある。参院選後に確立される権力構造は、次の衆院選まで三年続くかもしれない。このため、小沢との距離のとり方を中心に、新たな立ち位置を探る動きが民主党内で顕在化している。中でも、「反小沢」系の巣窟、「凌雲会」内の動揺が大きい。
孤立する前原誠司
まず、前原誠司国土交通大臣の孤立だ。「野心のない人間は信用できない」という自信家は、高速道路料金体系の六月からの見直し断念という失策の責任を認めたくない。そこで、小沢に責任転嫁した。小沢と戦う姿勢を示せば、「勇気ある政治家」と評価され、高速道路料金問題の迷走の責めも回避できる一石・・・