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政治

小沢が描く参院選後の「延命策」

「カギ」握る渡辺喜美

2010年6月号

「みんなの党は二十議席を超えるらしいぞ。とても勝ち目はない。参院選で大敗した安倍政権とよく似てきた」
 参院選まであと一カ月余。民主党幹部の一人は民主が置かれた厳しい選挙情勢を率直に語った。首相鳩山由紀夫が事実上の公約として掲げた沖縄の普天間基地移設をめぐる「最低でも県外」の言葉は空証文に終わり、鳩山首相の権威は地に堕ちた。民主党のすべてを握る最高実力者の幹事長小沢一郎も「剛腕の小沢」の面影はない。東京地検の再捜査の結果、嫌疑不十分による二度目の不起訴処分が出され、最悪の状況は回避できたものの失ったカリスマ性は取り戻せないままだ。
 二〇〇七年参院選で大勝、その勢いで〇九年の衆院選で政権交代を実現した民主党への追い風は猛烈な逆風に変わった。政権交代への期待感と現実の政権担当能力の落差に国民は失望し、絶望したからである。ところが、党内からは「鳩山降ろし」「小沢辞任」の声はほとんど聞こえてこない。むしろ民主党内の反小沢グループは「小鳩体制」での参院選敗北による責任論に望みを託すという奇妙な状況が生まれた。それは野党自民党も同じだ。「小鳩体制」での選挙戦は敵失とはい・・・