イラン経済を食い尽くす「革命防衛隊」
「制裁」をせせら笑う国家の中の国家
2010年6月号
米国が主張する国連安保理での対イラン追加制裁案は、中国やロシアだけでなくブラジルやトルコ、レバノンといった一部の非常任理事国の「懸念」が解けず、案の定、五月中の採択を果たせなかった。こうした米国の行き詰まりをあざ笑うかのように、イランは五月十七日、低濃縮ウランのトルコへの移送に合意したと発表するなど、国際社会のイラン包囲網を解こうと積極的な揺さぶりをかけている。
追加制裁実現の可否はなお不透明だが、米国は単独あるいは英キャメロン新政権との共同歩調による独自制裁の道も模索しており、イランに対する苛立ちが、制裁内容のさらなる積み増しをもたらす可能性も出てきた。
その際に米国が狙うのは、イランのアキレス腱とも言うべきガソリンなどの燃料供給の制限と、イランの国家内国家ともいわれる「革命防衛隊」(IRGC)を対象とした経済活動への圧力である。
金儲けの「うま味」に目覚める
イラン・イスラム共和国軍(正規軍)と軍事面を二分するIRGCの悪名は周知の通りだが、彼らの活動が改革派の弾・・・