欧州はイスラムとどう向き合うか
ますます深刻化する「移民問題」
2010年6月号
欧州連合(EU)域内に一千六百万人いるイスラム教徒と、各国当局との摩擦が強まっている。欧州では、マドリード列車爆破テロ事件(二〇〇四年)やロンドン地下鉄・バス同時爆破事件(〇五年)など、イスラム過激派のテロ事件が続いた後、各国はイスラム系住民を地元に溶け込ませる努力を続けてきた。だが、成果は上がっておらず、イスラム教徒排斥を求める極右勢力の声は強まるばかり。欧州社会は、イスラム教徒をめぐって分極化の危険に直面している。
「戒律警察」を自前で組織
先月、スペイン警察は「カタルーニャ地方で、イスラム教のサラフィスト集団が急速に広まっている」とする衝撃的な発表をした。サラフィスト(サラフィ派)は厳格な戒律が特徴だが、最近のサラフィストの中には、国際テロ組織アルカーイダに共感する過激派も含まれている。
米国在住のテロ専門家は、「アルジェリア起源のサラフィストは、原理主義組織GIA(武装イスラム集団)から派生した連中で、モロッコやモーリタニアなど他の北アフリカ出身者にも支持を広げている。今・・・