「南欧搾取」で持ってきたユーロ体制
なぜ救済に九十兆円も投じたか
2010年6月号
ユーロ圏諸国と国際通貨基金(IMF)の融資によりギリシャ破綻のXデーは何とか乗り切り、最大七千五百億ユーロ(約九十兆円)という桁外れな欧州連合(EU)・IMFの融資体制も五月十日にぶち上げられた。しかし、一見して分かるように根本的には何の解決にもなっていない。根本的な解決とは、いうまでもなくギリシャの自力での借金返済である。
封じられた「ギリシャ排除論」
この点につき、ドイツ銀行頭取のヨーゼフ・アッカーマン氏は、テレビのインタビューで「ギリシャが本当に返済できるかは意見が割れている」と内幕を披露した上で、「この国にそれだけのパフォーマンスをあげる能力があるかといえば、疑問なしとしない」と所見を述べた。メルケル首相の金融顧問という立場上この発言は失言とされ、政界の集中砲火を浴びた。
しかし常識的に考えれば、ギリシャに返済能力があると考えるほうが余程おかしい。欧州統計局が四月二十二日に発表した二〇〇九年の同国の財政赤字は三百二十億ユーロを超えるが、同国議会が一三年までに削減するとした・・・