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「連邦最高裁」という米国の聖域

オバマの命運をも握る

2010年6月号

 米国の最大の「聖域」の一つは連邦最高裁判所だ。黒い法衣を着た九名の判事は、この国の政治と社会の方向性を決めている。
 その内情はベールに包まれている。ジャーナリストのジェフリー・トービン氏は自著の『ザ・ナイン』の中で「最高裁がどのように運営されているかは外部には秘密にされている」と述べた。
 また、憲法学者のマーク・レビン氏もその著書『メン・イン・ブラック』において「多くの点で最高裁判事は議員や大統領よりも大きな権力を持っている」と指摘する。そして、「最高裁の九名の判事のうち五名が国家の経済政策、文化政策、安全保障政策の行方を決定することができ、現実にそうしている」と、最高裁の持つ圧倒的権力について論評している。
 そして今、オバマ大統領が、その「最高権力」の審判を受けようとしている。最大の公約であり、最後まで成立に奔走した「医療保険制度改革法」が、否定される可能性があるのだ。

侵せぬ「絶対権力」


 最高裁判事は大統領によって指名、上院によって承認され、その地位に・・・