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政治

《罪深きはこの官僚 》 柳瀬唯夫(経済産業省産業再生課長)

「原子力外交」敗退の戦犯

2010年5月号

「彼は政治家ですから」
 皮肉交じりに経済産業省内でこう呼ばれるのは、かつて同省のエースと呼ばれた柳瀬唯夫産業再生課長(当時資源エネルギー庁原子力政策課長)である。海外展開積極派の間で悪名高い「原子力立国計画」なる国家戦略の立案者としてその名を知られる。同計画は二〇〇六年、原子力政策の基本方針である原子力政策大綱に基づき、経産省が作成したものだ。
「政治家」柳瀬が作成した計画らしく、当時の電力業界の意向を全面的に反映させた内容は空疎そのもの。電力を産業として育てるという建前に反し、「電力業界に何もしなくてもいいというお墨付きを与えたようなもの」(専門紙記者)だ。これが現在の国際原子力市場での失態を招いた根本だというのは、関係者の一致した見方だ。
 同計画がいかに空疎かは、その後の経過を見れば一目瞭然だが、例えば原子力の海外展開。同計画には政府支援や相手国との対話強化、官民連携の場の設定など人を食ったような文言が並ぶばかり。
 また、エネルギー安定供給や温暖化対策、海外のプラント受注で決定的な指標になる「稼働率」の目標値には、あろうことか触れずじま・・・