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連載

Book Reviewing Globe 連載 312

NATOはなぜ生き延びたか

2010年5月号

 普天間移設問題が完全に行き詰まったことで、鳩山政権はいよいよどん詰まりにさしかかった。沖縄基地問題への取り組みに失敗したことで、「同盟漂流」ならぬ「同盟陥没」の危機が迫っている。日米同盟堅持と口では言いながら、その実、日本の外交・安全保障にとっての日米同盟の死活的な意味を真剣に考えてこなかった民主党の最大の弱さが露呈したと言える。民主党がこの失敗からどれだけ多くを学び、早期に同盟を再生させることができるかどうか。同盟を戦略的な課題にこたえる同盟に進化させることができるかどうか。それは、まさに日本の将来、いや運命を決するほどの重要な課題となってきた。
 日米同盟に比べて、やはり冷戦同盟である北大西洋条約機構(NATO)はどうなのか。冷戦時代、さらに冷戦後、そして9・11テロ後、何度となく「危機」が叫ばれてきたにもかかわらず、そしていま再び、アフガニスタン作戦をめぐってNATOの危機に警告が発せられている。「NATOはなぜ、生き延びてきたし、生き延びているのか」をテーマとするこの本は、日米同盟の再生にどんなヒントを与えてくれるのか。
 同盟の歴史は、国際社会の歴史と同・・・