現代自動車が狙う「トヨタ城下町」
ハイブリッド技術を「根こそぎ」に
2010年5月号
愛知県豊田市内の精密加工部品メーカー。トヨタ自動車向けにエンジン部品を中心に納入する売上高百億円足らずの中堅企業に、韓国・現代自動車の幹部が突然来訪したのは昨年二月のことだった。リーマン・ショックでトヨタの自動車生産が一気に半分近くに激減するという状況下、「ぜひ、当社に部品を納入してくれないか」と降ってわいたような注文が飛び込んできた。
部品メーカーの心を掴む
この中堅部品メーカーのトップは戸惑いながらも、トヨタに問い合わせた。するとトヨタは、「今はうちも十分な仕事を提供できないから、しょうがないでしょう」と、現代自動車との取引を許可してくれたと語る。「納入価格はトヨタ向けより二~三割程度高くしてくれた。最新の部品の提供はさすがにできなかったが、大いに助かった」と、この部品メーカー営業担当役員は打ち明ける。
こうした突然の来訪者が今、豊田市や岡崎市などトヨタの「城下町」にひっきりなしに現れている。最近では「ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)のバッテリー関連部品を中心に、足・・・