「人材不毛」極まれる政界
「育成システム」がなくなった
2010年5月号
永田町から人材が消え失せた。選挙制度の弊害を要因とする現状は、かねてから予測されてはいた。それにしても見事なまでの人材払底ぶりは、この国の「絶望」でもある。
雨後の筍のように新党が生まれるなか、東京・青山の結婚式場で四月十八日、「日本創新党」が旗揚げした。党首の杉並区長、山田宏(五十二歳)や前横浜市長、中田宏(四十五歳)は熱く志を語った。
結党記者会見を取材したベテラン記者は、松下政経塾の先輩後輩の関係にある山田と中田の後退した額をみて、「二人が一九九三年に初当選した時には、将来の政界を背負って立つと思ったのだが……」とこぼした。九三年の衆院選では政経塾出身者が旋風を巻き起こした。
一時は「政治家育成機関」として期待された政経塾ブランドも、今や色あせた。塾出身で国土交通相の前原誠司(四十八歳)と総務相の原口一博(五十歳)という現職閣僚二名の無能ぶりがそれを象徴する。
「派閥消滅」が一因
戦後日本において、唯一無二の政治家育成シス・・・