英国で進む「政治主導」批判
素人は引っ込みプロの官僚に任せろ
2010年5月号
民主党の小沢一郎幹事長が「政治主導のお手本」とする英国で、官僚の巻き返しが始まった。高級官僚は公然と、「政治家はアマチュア」「もっと官僚の専門性を生かせ」と声高に迫る。当の政治家たちは、五月六日の総選挙に忙殺されているが、選挙後は官僚たちが再び主導権を取り戻す勢いだ。
官僚逆襲ののろしは、昨年十一月から始まった「イラク独立調査委員会」の公聴会だった。テレビカメラの前で、トニー・ブレア前首相ら労働党の首脳、閣僚について、厳しい評価が連日飛び出した。
「ズブの素人が国家の最重要ポストを占めている。訓練が必要なのは、(前線の兵士ではなく)大臣連中である」と言い切ったのは、サー・フレディー・ヴィガース。イラク戦争時にイラク司令官を務めた職業軍人だ。
外務省法律顧問だったサー・マイケル・ウッドは、「私たち専門家は、イラク攻撃は国際法に鑑みれば、違法であると申し上げた」と語った上、ジャック・ストロー外相(当時)が耳を貸さなかったことを明かした。
さらに、クリストファー・メイヤー元駐米大使、サー・ジェレミー・グリーンストック元国連大使ら外務省トッ・・・