この不景気で生活保護受給者は、全国で一三〇万世帯、一八〇万人に増え、どの自治体も対応に追われ、財政悪化の原因にもなっている。なかでも際立って多いのが大阪市。受給者数は一三万を越え、市民二〇人に一人が生活保護者というありさま。来年度予算一兆七〇〇〇億のうち、実に一七％近い二八六三億円を保護費に充てる結果になっている。過去最大で、全国市町村でも一位。一方で不況下の税収はさっぱり期待できず、記録的な赤字財政がつづいて、当局も議会も頭が痛い。
　生活保護受給者の数が増えるだけなら、どこの自治体も同じ事情だが、大阪市の場合、見過ごせないのは、昨年十二月に増えた二八一六人のうち、一割近い二七四人が、半年以内にあらたに大阪市外から転入した人だったことだ。大阪府内や近隣府県はもちろん、関東、九州、沖縄などからも来ている。「大阪市へ行けば生活保護費が簡単にもらえる」と、申請者に勧めている自治体もあるとか、中には大阪までの交通費を支給しているところもある、などの風評が乱れとび「そういう人の生活まで、大阪市民の税金で支えなければならないいわれはない」と・・・